INTERVIEW

メディアプランナーが語る、新しい労働組合のあり方

  • Hajime

    Media Planner

    2014年入社。メディアバイヤー(テレビ)を経て、現在はメディアプランナー。労働組合の代表を務める。

Hajimeさんが入社した頃の組合について教えてください

  • 「なぜ組合をやるのか?」という点について、当時はなかなか明確な目的が持てていなかったと思います。今は終身雇用の時代でもないため、「万が一解雇されそうになったら組合に戦ってもらおう」「定期的な昇給のために組合に戦ってもらおう」と考える人が少なくなっており、組合の目的が見出しにくい時代なのだと思います。日常の業務も忙しいなか、わざわざ組合活動まで構っていられないよ、という声が、組合員から多くありました。労働組合がかつて提示していた価値が、今の時代にはそぐわなくなっているのだと感じました。

Hajimeさんが組合委員長になった際、何をしたのか教えてください

  • 私は現在新卒入社7年目ですが、入社4年目で書記長、5年目で委員長になりました。書記長になった際に、組合の存在意義を「組合員がこの会社に所属している期間の価値を最大化すること」と定義し直しました。昨今、転職、兼業、フリーランスと様々な働き方がある中で、定年までずっと当社で働き続けるのは、社員にとって当たり前ではなくなりました。だからこそ、誰もが納得する組合の存在意義を打ち出さなければならないと考えました。
    そういった存在意義のもと、後で述べる補助金制度や弁護士制度、法人化の計画などを打ち出しました。また、会社経営陣に対して、「会社としてこういった新しい働き方を取り入れてはどうだろうか」と提言する機会を持たせてもらっています。各々の組合員が「自分のやりたいこと」「社員のためになること」「会社のためになること」を考えながら、自主的に活動できるような素地を作ることができたのは、私としても良かったなと思います。
    ここ3年で、組合の加入人数は40名近く増加し、加入率は20%近く改善しました。これは組合の施策が社員にとって価値のあるものだと捉えてもらっているためだと考えています。これからも組合員にとって必要な施策を打ち出し続けていきたいです。

組合としての取り組みをいくつか教えてください

  • 「補助金制度の導入」、「弁護士制度」、そして現在進行中ですが、「組合費の投資と法人化」の3つあります。

    ・補助金制度の導入
    業務に対して成長意欲のある社員を支援するべきだという思いがあり、補助金制度の導入に踏み切りました。組合には、過去の先輩がたが積み上げてくださったお金がたくさんありました。一方で、先に述べたように、私が入社した当初は組合員の組合活動への意欲は落ちていましたし、組合加入率も低下していました。そこで、広告賞に応募したい人、英語を勉強したい人、業務に関係のある書籍を読みたい人など、積極的に自らのスキルを高めたいと考えている組合員に対して、補助金を出すことにしました。
    2020年はコロナという状況で在宅勤務に切り替わったのですが、その際にいち早く「在宅ワークに関する費用」を補助金の対象に含めました。在宅勤務に必要な椅子や机、スクリーン、イヤホンなど、申請内容に納得感があれば、補助金を出させていただいています。今では補助金制度は組合員全体ののべ8割以上の方にご活用いただいています。

    ・弁護士制度
    組合員であれば誰でも月1回は、組合が契約している弁護士の方に対して、個別に法律相談ができるようにしました。相談はあらゆる分野において可能で、労働環境に関する法律相談はもちろん、相続問題、離婚問題などプライベートに関わる法律相談も可能です。センシティブな問題であるため、相談内容は組合執行部にも共有されないシステムになっているので、安心してご相談いただけます。

    ・組合費の法人化(現在進行中)
    法人化している組合はたくさんありますが、その理由は、法人化によって可能になることが多くあるためです。その一つが、法人格の銀行口座を所有できるようになることです。これにより、銀行への預金だけでなく、さまざまな投資活動が可能になります。組合員から預かっているお金の使い道については慎重に議論する必要がありますが、もし投資によって収益を出すことができれば、それは組合員に還元したいと考えています。他にも法人化によってさまざまな活動が可能になるので、新しい労働組合の動き方として、法人格をぜひ利用していきたいですね。

マッキャン労働組合を今後どうしていきたいか

  • 労働組合からの申し立ては、会社にとって無視できないものです。私は、組合員各々の考えを会社に訴える場として、組合を活用してもらえればと思っています。コロナ禍のなかで、旧来の働き方に対して様々なクエスチョンが付くようになりました。例えば、これまでは電車通勤が一般的でしたが、社員の感染リスクを考えると、電車通勤以外の方法も模索した方がいいのではないか、などですね。ただし、自分ひとりの希望のためだけに会社に申し立てをするのではなく、それが社員のためになるのか、そして会社のためになるのかといった点について、よく考える必要があると思います。
    マッキャンエリクソン/Mediabrandsという会社は、組合活動の面でも自由度が高く、先進的な組合運営を行える会社です。組合を通してできることは他の会社よりも多いと思います。ぜひ組合で一緒に先進的な働き方を提言・体現していきましょう。