メディアプランニングチームのヘッドが語る、メディアエージェンシーの未来

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Akira
Unit Managing Director
2010年に制作会社から中途入社。複数のクライアントに対するメディアプランニング業務を経て、現在はユニットマネージングディレクター(メディアプランニングチーム全体のヘッド)を務める。
簡単な自己紹介をお願いします。
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2010年11月に中途で入社して、2019年で在籍年数は丸9年になります。前職は制作会社で、転職してきた時も、当初はウェブサイト制作やソーシャルメディアを絡めた企画提案などの業務を担当していました。その頃はデジタルメディアを使ったコミュニケーションが活発で、私もデジタルのスペシャリストとしての採用でした。
ただ、結局のところ弊社はメディアエージェンシーなので、クリエイティブまわりの業務ってそこまで多くなかったんですね。それで、転職して早いうちから「このままここにいていいんだろうか」と思っていました。ただ、すぐに辞めるのは悔しかったし、周りの人たちもロジカルで優秀だと感じたので、どうせならメディアエージェンシーの王道のポジションである、メディアプランナーの仕事をやってみようと思いました。
ウェブサイトの制作業務をやっていた頃から、IMC(※Integrated Marketing Communicationのこと。ターゲットに対して一貫したメッセージを届けていくための統合的なコミュニケーション戦略)は正しい考え方だと感じていたので、メディアプランニングの業務に移行するのにも、そんなに違和感はありませんでした。

メディアエージェンシーで働く面白さってどこにあるんでしょうか。
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アウトプット(実際のモノ)がないことですね。提案資料は作るけれども、究極のところはその人の「考え」を売っている。
インターネットが出てきたことで、知識というものは誰でも取得できるようになっています。知識をどう使うかということ、すなわち考えるということが、AIにまだできない領域なのではないかと思います。効率だけでメディアを選ぶならAIに任せることができるけれど、それ以外の「考えを作る」という部分は、人間にしかできないのではないでしょうか。弊社には ”Better Science, Better Art” という標語があるのですが、そのArtの領域は人間にしか作れないと思います。

この会社が今後どういった価値を提供できるようになっていくべきなのか、お考えをお聞かせください。
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個人的には、メディアプランナーという職種ありきではなく、クライアントのマーケティング活動に寄与できるパートナーになることを目指していきたいと思います。六媒体のプランニングをただやっているだけではなく、クライアントの考えに入り込める存在、マーケティングカンパニーにならないといけない。
そうした会社の姿勢が、若手の社員に対しても魅力的な環境だと映るのではないでしょうか。メディアエージェンシーの枠を超えてマーケティングを学んだ若手が会社を卒業していくのなら、個人的には良いことだと感じます。もちろんその場合、会社としては痛手ですよ(笑)。
先ほどAIのくだりでも言いましたが、考えを作るということを、各チームのリーダーから始めていってほしいと思っています。若手から見て、隣の席に座っているマネージャーが現場の自分と同じことをしているのなら、きっと自分も十年後同じことをやっているだろうと思うわけで、そういう会社には若手は居たいと思わないでしょう。
そうではなくて、リーダーにそれぞれ理想の姿を目指してもらって、それが伝播していくのがいいと思います。そうすることで、いわゆる思考の対価にあたるところのフィー(※報酬のこと)の金額を、上げていきたいですね。
フィーというのはクライアントへの影響力でもありますから、例えば会議の場で自らの考えを発信することができなければ、極端に言えばフィーをもらう価値はないわけです。日本語ではもちろんのこと、たとえ拙い英語であっても、自分の意志を示そうとする姿勢が重要だと思います。
考えを作るって、抽象化して捉えることでもあるんですよ。リスティング広告を、単に検索している人に訴求する広告として捉えるのか、それとも顕在化した層に対してアプローチする手法として捉えるのか。ターゲットがInstagramを多く使っている、というデータが目の前にある時に、ソーシャルメディアが好きな人だと直線的に捉えるのか、それとも周囲にShow Offしたい人だと抽象化するのか。
妄想で語ってはいけませんが、自分の意志を込めてストーリーを語り、それによってクライアントのビジネスを動かすことが、我々の価値だと思います。

どんな方に入社してほしいと思いますか。
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三つ要素があって、責任感、頭の回転、前向きさが重要だと考えています。そのなかでも、責任感が第一に来て、その上に頭の回転があり、さらに前向きさが来るという構図が理想的です。
責任感は最も重要です。どんなきれいごとを言ったとしても、我々はクライアントビジネスですから、クライアントから非常に難しいお題をいただくこともあれば、迅速な対応を求められることもある。どんな時でも責任感を持って、真正面から仕事に向き合っていくことができなければ、この業界ではなかなかやっていけないと思います。
責任感って、仕事の線引きをすることでもあると思うんです。リーダーとして、部下に教えることは多くない。ただ、仕事としてどのレベルまでやるべきなのかを示すこと。それは責任感のある人にしか、できないことだと感じます。